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Issue : 51
yado local FI | 北欧フィンランドの山小屋を住宅に落とし込んだモデル
世界各地の宿に学び、独自の視点で再編集した住宅デザイン「yado local」。このyado localから生まれたのが、北欧フィンランドの山小屋をもとにした家「yado local FI(以下、yado FI)」だ。ここにあるのは、自然と調和し、心穏やかな時間を過ごすための空間。yado FIに込められた、フィンランドのエッセンスとそこに流れる時間を紹介する。
北欧フィンランドに流れる空気を
再現したyado FI
新たな土地に訪れたときに感じる、高揚感や居心地のよさ。そんな旅の喜びを、日常でも感じられるようにする……そんな思想で生まれたのが、住宅ブランド「yado」だ。
旅先で得られる感覚を分解し、家というフォーマットで再設計する。そんなアプローチによって“泊まるように暮らす”というあり方が可能になる。
yadoの一連のプロジェクトの中で「yado local」は、世界中の宿からインスピレーションを受けて生まれる住宅レーベル。今回は「yado local」のラインナップのひとつyado FIから、“泊まるように暮らす”家のあり方を紐解いていく。
年輪を重ねるように
時の経過とともに育っていく木の風合い
yado FIのモチーフとなっているのは、北欧フィンランドの山小屋だ。その佇まいは、まるで湖畔に佇むログハウス。外観を印象づける切妻屋根や縦張りの木目からも、そんな現地の空気を感じられる。
天井や床材、建具など、空間の至るところで用いられている木材。無塗装のまま仕上げられた、この木材は、時の経過によって美しく表情が変化していく。
ダイニングで家族と食事を味わっている時間、縁側で来客との語らいを楽しむ時間、造作のソファでひとりで心穏やかに過ごす時間……まるで年輪を重ねるかのごとく、この家で過ごす人の記憶を刻みながら、空間に散りばめられた木の風合いは育っていく。
ノイズとストレスを排し、
純度の高い心地よさを
喧噪を忘れさせる静けさと開放感が同居しているyado FI。コンパクトながらもストレスのない生活動線、徹底的にノイズを取り払った空間設計……そうした細部へのこだわりが、yado FIならではの居心地のよさを生み出している。
生活感のあるサニタリーを玄関周辺と2階に配置することで、多くの時間を過ごすリビングは、ノイズレスで新鮮な非日常を味わえる空間へと変わる。
一歩リビングに入ると、視界に飛び込むのは大開口からの眺めだ。インターホンなどのスイッチを別室に集約したり、造作ソファの下に収納を設けたり。細やかなディティールへの工夫によって、大開口によってもたらされる心地よさの純度は高まる。
日々季節の移ろいを確かめ、時計の針が少しだけゆっくりと動いているような感覚に浸る……フィンランドを訪れたときに味わえるような空気が、ここにはある。
深い充足感とともに一日を終える
2階は、3つの寝室を含むプライベートスペースに。
モノを一元的に収納できるファミリークロークを近くに配置することで生まれるゆとり。そして、穏やかな表情の木材と彩度を落としたグレーの壁紙によって宿る落ち着いた雰囲気……そうした空間に包まれながら、一日を終えていく。
この静かで確かな温もりは、住む人の人生に深い充足感をもたらしてくれることだろう。
山小屋をモチーフにしたミニマルなデザインは、自然と調和する。フィンランドの湖畔に流れる時間のように、ただ静かな幸福感が空間に満ちていく。
Staff Credit
Written by Takumi Kobayashi
Photographed by toha
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